J指導者がスペインのW杯敗退で痛感した「監督に大金をかける必要性」 (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Sano Miki

「ロシア戦は、あれだけ守備ブロックをつくられたら、崩すのは難しいですよね。それに対して、スペインはあまりにも無秩序な状態でボールを持っていた。狙いがわかりづらかったです。イスコはフリーに動いているけど、効果的かというと、そうでもなかった。なんのためのフリーマンかよくわからず、周囲もその即興性を狙っているだけで、偶発性に賭けた攻撃になってしまっていました。パスなどの関係性での崩しは、練習を積んで仕込んだ形があるからこそ、即興性が生きる。そう考えると、スペインがやっていることはあまりにも場当たり的でした。

 選手交代も、4試合通して課題はほぼ同じでした。自分が監督だったら、まずは選手を代えないで、配置を変えるのがベストだと考えます。で、その次に人を代えて、相手に与える脅威を出していくという考え方です。イエロは監督の経験があまりないので、選手交代も怖かったんだと思います。スペインの早期敗退の要因は、監督の経験がなかったことに尽きると思います」

――番狂わせを演じたロシアはいかがでしたか。

「ロシアの監督はカッコよかったですよね。ガッツポーズをしてスタジアムを煽ったり。何を味方につけたらいいかというのが、すごくわかっていた。

 感じたのは、W杯は4年に1度の国と国が激突するシビアな大会ですけど、彼らヨーロッパ人には余裕がありますよね。監督にも選手にもエンターテイメントの部分があって、それがその国のアイデンティティになっていたりする。余裕があるか、楽しめているか、幸せかどうか。それがすごく見えた気がします。スペイン人だって、一番大事なのは幸せかどうかですからね。幸せだからこそフットボールも楽しめる、ということです。

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