高額報酬だけじゃない。ロナウドがユベントスを選んだ本当の理由 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 加えて、C・ロナウドの怒りの火に油を注いだのは、そのペレス会長が「うちに来れば主役になれる」などと、ネイマールにラブコールを送ったことだ。これは彼の自尊心を大いに傷つけた。自分に払う金はなくとも、ネイマールに払う金はあるというのか、と。

 こうして彼は、キャリアの最後までプレーすると決心していたレアルから去ることを検討し始めるようになる。

 ただ、このときはまだ、シーズン直後のスピード移籍は考えていなかったかもしれない。彼の決心を促したのはジネディーヌ・ジダン監督の辞任だった。

 レアルのロッカールームは、以前からいくつかの派閥に分かれている。スペイン人グループ、ポルトガル語グループ、非ラテン語グループ......。そのなかには、反ロナウドでまとまっている一派もある。ジダンはそれをどうにかうまくまとめてきたが、もし彼がいなかったら、ロナウドを擁護してくれる存在はもういない。

 ペペもいない今、味方はマルセロとカゼミーロぐらいだ。おまけに、新たにレアルの監督に就任することになったフレン・ロペテギは、つい先日までスペイン代表監督だった人間だ。スペイン代表でもキャプテンだったセルヒオ・ラモスの力がより強固になることは、目に見えていた。

 もうひとつ、ロナウドが移籍を望んだ理由が、スペインでの脱税問題だ。何年にもわたり脱税を繰り返していたとして起訴され、5月には1880万ユーロ(約24億円)の罰金の判決を受けている。その他にもスペインメディアとの不仲があり、ことあるごとに非難されてきたロナウドは、レアルでプレーし続けることが、日に日に重荷になってきていた。

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