2018.07.16

「不自然さ」があったフランスの優勝。
VARの活用に議論の余地あり

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by JMPA

 フランスは後半20分、クロアチアがさらに前がかりになるところを、左サイドバックのエルネンデスが高い位置に進出。その折り返しをムバッペが決め4-1とすれば、クロアチアもその4分後、ロリスのミスをマンジュキッチが押し込み2-4とした。

 前半から続いたドタバタ劇は、これをもって打ち止めとなった。フランス優勝の要因を挙げるならば、堅い守りに尽きる。ラファエル・ヴァランとサミュエル・ユムティティ。レアル・マドリードとバルサの両CBが果たした役割は大きい。

 しかし、同じ条件でもう一度クロアチアと対戦したら、勝てるのか。はなはだ疑問だ。フランスの優勝は、ドイツ、ブラジル、スペインが早々に敗れた大会にあって、きわめて順当に映る。だが、そこには運が大きく絡んでいたことも事実なのだ。運も実力のうちと言って、話をまとめようとする気は起きない。

 特にVARという新システム。その活用法には議論の余地が大いにある。

 最後にフランス代表監督デシャンについてひと言。つい想起したくなるのは、2003-04シーズンのチャンピオンズリーグだ。モナコの監督として、準々決勝ではジネディーヌ・ジダンなどスターがきらめくレアル・マドリードを撃破。準決勝でもチェルシーを下し、決勝の相手はポルトだった。

 優勝の2文字が目の前にちらついていた。その時、34歳ながら、「名将」の称号は目の前だった。ところが、モナコはポルトに0-3で、まさかの敗戦を喫してしまう。ポルトの監督、ジョゼ・モウリーニョがその余勢を駆って、トントン拍子で出世していくのとは対照的に、デシャンは監督として苦しい戦いを強いられることになった。