クロアチアの敵だらけだった決勝のピッチ内外。「我々は不運で敗れた」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 まずは、18分のフランスの先制点――FWアントワーヌ・グリーズマンが蹴ったFKが、ゴール前の競り合いのなかでクロアチアのFWマリオ・マンジュキッチの頭に当たり、そのままオウン・ゴールとなったシーンである。

 FKが蹴られる瞬間、フランスのMFポール・ポグバはオフサイドポジションにいた。そして、マンジュキッチを後ろから押すように接触もしている。当然、オフサイドと判定されても不思議はないプレーである。今大会はVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が導入されているのだから、当然判定は覆されるのだろうと思っていたら、そのままゴールは認められた。

 クロアチアが同点に追いついたあと、フランスに与えられたPK――CKの競り合いのなかで、クロアチアのFWイヴァン・ペリシッチの左手にボールが当たったことへのVAR判定にも、率直に言って疑問はあるが、1点目の判定と合わせて考えると、なお一層、レフリーの判定がクロアチアに不利に働いた感が強くなる。

 だが、クロアチアの"敵"はレフリーだけではなかった。

 不運な2失点で1点のリードを許したクロアチアだったが、後半が始まっても主導権を握り続けた。パスをつないでフランスを押し込み、ボールを奪われてもすばやい守備への切り替えですぐに奪い返し、フランス陣内でゲームを進める。そんな理想的な展開に持ち込むことができていた。

 しかし、追い上げムードは、突然の乱入者によって水を差される。

 クロアチアがフランス陣内に攻め入っていた、まさにそのとき、クロアチアの攻撃方向から見て右ゴール裏付近から男女4人がピッチに乱入。警備員によって取り押さえられるまでの間、しばらく試合は中断となった。

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