クロアチアのサイドチェンジは美しい。イングランドを下し決勝進出 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 間の悪いプレーはその後も続く。だが、両軍選手の力量を比較すれば、これで試合は面白くなったという見方もできた。

 クロアチアに対して楽観的になれる理由のひとつに、シメ・ブルサリコが無事、先発を飾ったことにある。前戦、ロシア戦の延長戦で負傷退場したアトレティコ・マドリード所属の右SBだ。この選手の出場が可能か否か。個人的には、出場が叶えば、クロアチアは勝利を収めるだろうと予想していた。

 クロアチアといえば、1にルカ・モドリッチ、2にイヴァン・ラキティッチがくる。レアル・マドリードとバルサを支える中盤選手に目はまず向く。FWに目を転じれば、マリオ・マンジュキッチもビッグネームだ。だが、クロアチアサッカーの今日性を語ろうとすれば、ブルサリコこそ外せない選手になる。「SBが活躍したほうが勝つ」と言われる時代に相応しい、勝利の切り札となる選手だ。

 前半はもたつきが目立ったクロアチアだが、後半に入ると力量差を見せつけるようになっていく。65分には、正面からイヴァン・ペリシッチ(4-2-3-1の3の左)がイングランドゴールを強襲。その背後に控えるクロアチアサポーターを勇気づける一撃を放っていた。

 ブルサリコのプレーはその3分後だった。右からのクロスで、ペリシッチの同点ゴールをアシストしたのだ。5バックで構えるイングランドの右センターバック、カイル・ウォーカーのポジショニングのミスを誘うクロスだった。決めたペリシッチは、もちろん褒められるべきだが、満を持してクロスを上げたブルサリコも、得点に関係した重要人物として外すわけにはいかない。

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