激戦必至。W杯準決勝は好勝負になる要素だらけだ! (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 イングランドはグループリーグを早々に突破したため、第3戦でメンバーを入れ替える余裕を持てた。決勝トーナメント1回戦のコロンビア戦で見たイングランドは、そのぶん選手の動きがキレていた。このコロンビア戦こそ延長PK勝ちという長い戦いだったが、準々決勝のスウェーデン戦は90分の決着(2-0)だった。

 対するクロアチアも、グループリーグ3戦目でメンバーを入れ替えているが、決勝トーナメントでは2試合連続で延長PK戦に突入。イングランドにコンディション面で劣る。

 イングランドのサッカーは、けっして洒落ているわけではないが、どこよりも直進性がある。ハリルホジッチ的といったら、もはや流行らない言い回しになるが、ボール支配にこだわらない、縦に速い攻撃が武器だ。問われるのはコンディション。選手の身体にキレがあるうちは、相手の嫌がるサッカーができる。

 過去の栄光を背負っていない点もいい。イングランドはここまで、ほぼ無欲で勝ち上がってきた。準決勝でも、そのスタンスが貫けるか。英国ブックメーカー各社は、イングランド有利と予想する。そして、クロアチアに勝てば決勝だ。欲が出て、戦い方が慎重になると危ない。イングランドの魅力は消える。荒削りで泥臭いサッカーを、準決勝という晴れの大舞台で貫けるか。

 クロアチアは準々決勝で、内容的にはロシアに90分で勝てたはずの試合を、延長PK戦に持ち込まれた。疲労感の残る勝ち上がり方をした。そのうえ、クロアチアの切り札的な選手である右サイドバック、シメ・ブルサリコも、延長戦で大腿部の裏を抑えながら退場する悲劇に見舞われた。

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