もはや「モドリッチの大会」か。
クロアチアの栄冠へ獅子奮迅の大活躍

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 モドリッチ自身はバロンドール獲得の可能性について聞かれても、「大切なのはクロアチア代表の成功であり、率直に言って個人のことは重要ではない」とそっけない。

「今はチームのことにフォーカスしている」と話すキャプテンは、「(ロシア戦の)最後に失点しているし、セットプレーの守備は改善しなくてはいけない」と、早くも準決勝へ視線を向けている。

「次の(準決勝の)イングランド戦はタフなゲームになるだろう。それでも、いいチームメイト、いいスタッフ、いいコーチとともに、(クロアチアがまだ成し遂げたことのない)決勝進出という次のステップに進めると思っている」

 クロアチアは120分間の試合を中5日の2戦連続でこなしており、疲労の蓄積が心配される。ズラトコ・ダリッチ監督も「全選手が長いシーズンを戦い終えたばかりで、技術的には問題がなくとも、エネルギー不足になっている。まずはリフレッシュさせる必要がある」と選手を気遣う。

 だが、初の決勝進出を目指し、モドリッチのモチベーションは高い。「いい準備をする時間は十分にある」と語る表情からは、不安はまったくうかがえない。

 はたして、クロアチアにとって初の決勝進出、そして初の優勝はなるのか。決勝が行なわれる7月15日(現地時間)、身長172cmの小さなキャプテンが黄金に輝くトロフィーを頭上にかかげることができたとき、黄金のボール(バロンドール)もまた、彼の足もとに転がってくるはずである。

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