ウルグアイを一蹴もムバッペ沈黙。
フランスのサッカーはまだ甘い

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ウルグアイとフランス。サッカーの"強国度"で勝るのはどちらかといえば、これはかなりいい勝負だ。フランスの判定勝ちといったところだが、今回に限れば、その差は明白だった。フランスは優勝候補で、ウルグアイは第2グループ。両国には60対40 程度の開きがあった。

 フランス優位に拍車をかけたのが、ウルグアイのFWエディンソン・カバーニの欠場だ。前戦(決勝トーナメント1回戦ポルトガル戦)で、左足ふくらはぎを痛めて途中退場。そのケガは、この試合を前に回復しなかった。

 そんな前提で始まったこの一戦。開始してしばらくは「いい試合」の状態が続いた。ゲームを支配したのはフランス。だが、ウルグアイもしぶとさを発揮して応戦した。ウルグアイはとりわけ、ボールの奪い方の巧さが光った。抜け目ない動きで相手に食らいつき、勘よく奪い返す。相手ボール時の対応に先天的に優れたチームに見える。

 フランスは手を焼いた。ボールを6割がた保持するも、その間、気持ちよさそうにプレーできずにいた。10の力を6、7割しか出せていないという印象だった。

ウルグアイを破り、20年ぶりの優勝に一歩前進したフランスウルグアイを破り、20年ぶりの優勝に一歩前進したフランス 前戦のアルゼンチン戦でも、フランスは苦戦した。アルゼンチンに長い時間ボールをコントロールされた。スコアは4-3。キリアン・ムバッペが持ち前のスピードを爆発させ、派手な勝ち方をしたので、フランスに好印象を抱いた人はいたかもしれない。

 だが、フランスは単なる好チームではない。優勝候補だ。つい厳しい目を向けたくなる。しかも、ドイツ、スペインが敗れたいま、ブラジルとともに大会をリードする存在だ。にもかかわらず、このウルグアイ戦でも、フランスは優勝候補に相応しい戦いができなかった。注目のムバッペも沈黙。持ち前のスピードを発揮できず、埋もれていた。

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