「秘策」でブラジル粉砕。4強入りベルギーが見せた戦術の奥深さ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ベルギーの2トップがワイドに開くため、ブラジルの両サイドバックは攻め上がりを抑制され、しかも、ふたりのセンターバックはカバーを意識するため、前に出るにも出られない。こうしてベルギーはブラジルのDFラインを押し下げると、4バック+3ボランチの強固な守備でブラジルの攻撃を食い止め、ぽっかりと空いた中盤とDFラインの間のスペースを利用し、カウンターにつなげた。

 ルカクとアザールは独力でボールをキープし、ドリブルで前進することができるうえ、そこばかりに気を取られれば、中央のデブルイネをフリーにしてしまうばかりか、MFマルアン・フェライニ、アクセル・ヴィツェルも進出してくる。前半のベルギーは狙いどおりのカウンターから、何度となくゴールチャンスをつくり出した。

 実際、CKからのラッキーなオウンゴールで先制したあとの2点目は、鮮やかなカウンターから生まれたものだ。自陣からドリブルで独走したルカクが送ったラストパスを、デブルイネが強烈なミドルシュートをゴール左スミに突き刺した。

 結果的に決勝点となるゴールを決めたデブルイネが語る。

「僕らは戦術的な変更をし、前半はそれがとてもうまくいった」

 ベルギーのロベルト・マルティネス監督が「後半に入ると、ブラジルが適応し、リスクを負って攻めに出てきた」と振り返ったように、たしかに後半はブラジルが盛り返した。

 ベルギーは、前半のようにはルカクとアザールがボールを収められなくなり、守勢に回る時間が長くなった。危険なカウンターの数は明らかに減った。

 前半は、中盤で詰まってノッキングを起こすことが多かったブラジルの攻撃も、FWロベルト・フィルミーノ、MFドウグラス・コスタの投入で、ボールがリズムよく動き、ゴールへ向かう迫力も増した。

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