地味でもキレあり。「どんくさくない」イングランドの未来は明るい (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 1-1。これは試合内容に相応しいスコアである。同点ゴールを奪った流れで、コロンビアは延長前半、試合を押した。前線にカルロス・バッカ、ルイス・ムリエルを投入。先発のファルカオとともに、多くのストライカーを並べたが不発に終わった。すると、延長後半はイングランドペースに。コロンビアは勢いでしか攻撃できなかった。理詰めを欠いた。

 最後まで不足していたのは、サイドを突く姿勢だ。5バックで引いて構える相手、後方に引いてスペースを消すサッカーに対して、どう対処すべきか。答えはサイド攻撃だ。両サイドバック、ウインバックを外から剥がし、センターバックを外に誘い出す。これがセオリーだが、コロンビアはサイド攻撃を最後まで追求しなかった。

 両サイド各ひとりの相手に、4バックであるにもかかわらず、同じ枚数で迫った。相手に布陣を合わせながら戦った。ボール支配率を高め、ゲームを意図的にコントロールしようとしなかった。リスクを恐れたサッカーだ。

 勝ちたかったのだろう。イングランドに勝利すれば、次はスウェーデン戦。コロンビアが属している側のトーナメントの山は、反対側の山より緩い。

 前回ブラジルW杯では準々決勝でブラジルに敗れ、ベスト8で沈んだホセ・ペケルマン監督にとって、それは大きなチャンスに見えたに違いない。だが、そのベスト8進出は、監督にとって操作が利かないPK戦に委ねられ、その結果、3-4でイングランドに敗れた。正攻法で戦っていれば......とは、観戦者としての正直な思いだ。

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