2018.07.03

スペインは1000本ものパスの無駄使い。
敗退は決して偶然ではない

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかし、試合が動いたのはここまでだった。

 結局、(ロシアが同点に追いついたあたりのわずかな時間を除き)延長戦を含めた120分間、スペインがひたすらボールを保持して攻め続け、ロシアはひたすら守り続けた。ただ、それだけだ。1-1の末、最後はPK戦を4-3で制したロシアが準々決勝進出を決めた。

PK戦の末、ロシアに敗れたスペイン 率直に言って、見応えのない試合だった。

 ロシアは、5-0でサウジアラビアに大勝した開幕戦では4-2-3-1だったフォーメーションを、3-5-2に変え、深く引いて守りを固めた。スペインがペナルティーエリア内に進入しようにも、そのなかは実質5-4-1で構える白いユニフォームで埋め尽くされていた。

 例えば、ロシアがベスト4入りした2008年ユーロでは、FWアンドレイ・アルシャビンやロマン・パブリュチェンコを中心とした、電光石火のカウンターが印象深かったが、今のチームにはそれほど明確な武器はない。延長戦に入ってからの戦いぶりを見る限り、PK戦突入は狙いどおりだったのかもしれない。

 ただし、だからといって、この試合からスペクタクルを奪ったのは、ロシアの”アンチ・フットボール”だけが原因ではない。

 スペインもまた、やたらと無為な横パスをつなぐばかりで、どうやってロシアの守備を崩そうとしているのか、その意図がまったく見えてこなかった。