2018.07.01

アルゼンチン撃破。優勝候補
フランスの穴は「驚異のムバッペ」にあり

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by JMPA

 この日一番のスーパーゴールが誕生した瞬間だった。シュツットガルト所属の22歳が、右のインステップでカット気味にヒットさせたボールは、ゴールの枠外から枠内にスライス軌道の弧を描き、サイドネットに吸い込まれていった。

 フランスの弱点をあえて探せば、両サイドバックだった。パバールとリュカの2人の若手は、ほとんど最後になって登用された選手で、大会前はチームにフィットするかどうか、危ぶまれていた。

 その2人で奪った同点ゴールで、フランスの沈滞していたムードは一転した。左のリュカは、その7分後にも左から低いクロスを送り込んでいる。ここで再び登場したのがムバッペだった。ゴール前で混戦となるところを抜け出してシュート、逆転ゴールとした。

 後半21分、アルゼンチンは中盤のエンソ・ペレスに代え、セルヒオ・アグエロを投入。布陣を4-3-3から4-4-2に変更した。だが、実際は4-3-3崩れの4-2-4で、前線は、高い位置を保つ両ウイングと2トップ(メッシ、アグエロ)の構成になった。一方、中盤はハビエル・マスチェラーノとエベル・バネガの2人。スカスカになっていた。

 フランスにダメ押しゴールが生まれたのは、その2分後(後半23分)。GKのキックからスイスイと真ん中のルートをつなぎ、マチュイディ、ジルーと渡って最後はムバッペがゴールに流し込んだ。

 サンパオリ監督の采配が失敗したことを物語るシーンだった。逆転ゴールを浴びたものの、アルゼンチンはそれまでうまく戦っていた。得点差は1点。時間は20分以上残されていた。GKのキックから布陣の欠陥を突かれ、簡単にゴールを許したこの4点目は、まさに痛恨だった。