アルゼンチン撃破。優勝候補フランスの穴は「驚異のムバッペ」にあり (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by JMPA

 ホルヘ・サンパオリ監督が4戦目にしてたどり着いた結論は、3トップのセンターフォワード。とはいっても、メッシは、ボールをほしがって下がる傾向があるので、事実上、0トップだ。クリスティアン・パボン(右)とアンヘル・ディマリア(左)の両ウイングが、思い切り左右に開き、かつ、センターフォワードより高い位置を維持する。

 一方のフランスは、オリビエ・ジルー、アントワーヌ・グリーズマン、ムバッペの3トップが、中央に固まりがちだった。ムバッペのスピードに頼ろうとするあまり、そのサッカーは、クリスマスツリー型というべき、先に行くほど細くなる傾向があった。

 アルゼンチンのボール支配率はジワジワと上昇。ゲームをコントロールする側に回っていた。前半41分。左サイドでパボン、エベル・バネガとつないだボールを、中央で受けたディマリアが左足を振り抜くと、試合は振り出しに戻った。

 さらに、ハーフタイムをはさんだ後半3分、メッシが強引に放ったシュートを、ゴール前で右サイドバックのガブリエル・メルカドがコースを変えると、それがアルゼンチンの逆転弾となった。

 ピッチでは、アルゼンチンの魅力が全開になっていた。フランス危うし。サポーターの数で大きく劣ることも輪をかけた。開始13分という早い時間に、ムバッペの単独走でゲットしたPKが、逆にフランス本来のリズムを崩していた。

 この苦境を打開したのがサイド攻撃だった。それまで専守防衛になりがちだった左サイドバック、リュカ・エルナンデスがタッチライン際を走る。その鼻先にブレーズ・マチュイディから縦パスが出た。アトレティコ・マドリード所属の22歳が、ゴールライン際から深々としたマイナスのボールを折り返すと、ゴール前を通過したボールは、逆サイド(右)のサイドバック、バンジャマン・パバールの前に流れていった。

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