アルゼンチンは「監督シカト作戦」で復活へ。南米勢の逆襲なるか? (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 今のブラジルは、普通の公道を走っているF1マシンのように、なかなかその性能を発揮することができないでいる。しかし一度サーキットに入ったならば、最後の最後までぶっ飛ばすことができるだろう。

 対戦相手のメキシコは、最高のコンディションとまでは言えないが、メキシコらしい武器、スピードと運動量の豊富さは健在だ。メキシコの本領は70分を過ぎ、相手が疲れ始めてきた頃から発揮される。また、メキシコはなぜか強いチームを相手にしたときほど、組織力と集中力がアップする。ドイツには快勝したが(まあ、今大会のドイツが強敵だったかどうかはわからないが......)、韓国戦では苦労し、スウェーデンには0-3で大敗している。

 しかしこれからの決勝トーナメントは、彼らが得意とする(?)強敵ばかりだ。「メキシコはいつもいいプレーをしているのに、W杯で優勝したことがない」とは、メキシコ人の口癖だ。今回この夢に届くことができるか、次のブラジル戦が大きなカギを握る。

 最後にコロンビア。初戦で日本にまさかの敗北をしたとはいえ、やはりグループHではひとつ抜きん出て強かった。コロンビアのサッカーは明るい。ピッチの中でも外でも踊っているようだ。アルゼンチン人監督ホセ・ペケルマンがそこに誠実さを与え、陽気さと堅実さが絶妙にミックスされたチームをつくり出した。

 ボールを持ったときのラダメル・ファルカオ、いざというときのハメス・ロドリゲス、サッカーをするために生まれてきたようなフアン・クアドラード、ルイス・ムリエル、フアン・キンテーロ。ゴールゲッターのカルロス・バッカをベンチに温存するなど、タレントにも恵まれている。

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