アルゼンチンは「監督シカト作戦」で復活へ。南米勢の逆襲なるか? (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 アルゼンチンの選手たちは、もうホルヘ・サンパオリ監督の言うことには耳を貸さないことにした。ハビエル・マスチェラーノもメッシも、監督とは話もしない。重要なことは全て選手が決める。練習時間も、練習方法も、果てはゴンサロ・イグアインにもっとスペースを与えるといった戦い方まで......。

 マスチェラーノは言う。

「アルゼンチンのW杯は今から始まる。すべてがゼロからのスタート、これまでのことは考えないようにする。今はただ前を見るだけだ」

 サンパオリは日に日に孤立している。ロホが劇的なゴールを決めたときでさえ、誰もサンパオリをハグしたりはしなかった。

 もちろん、これで問題がすべて解決したわけではない。それでも、一発勝負の仁義なき戦いを前に、腹をくくったアルゼンチンが、より危険なチームになったことは確かだ。

 グループリーグでは人々の期待に応えることのできなかったブラジルも、少しずつ上昇してきている。エースのネイマールが本調子ではないブラジルは、ネイマールなしでも戦える道を見つけ出そうとしている。

 ロベルト・フィルミーノとドゥグラス・コスタは、これをチャンスとばかりに、自分たちがブラジルの、あわよくば今大会のエースになることを狙っている。これでネイマールも復調することができたら、先行きはかなり明るくなるだろう。ただ、楽観視ばかりもしていられない。次の対戦相手はメキシコだ。彼らはブラジルのことを熟知していて、いつも危険に陥れる。ブラジルが真価を見せられるかどうかの正念場だ。

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