アルゼンチンは「監督シカト作戦」で復活へ。南米勢の逆襲なるか? (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ただ、それでも期待されていた南米勢は、ペルーを除いて決勝トーナメントに駒を進めることができた。これからは待ったなしの一発勝負。ストーリーはこれまでとは違ってくるはずだ。

 南米のチームのなかで一番堅実で、強く、方向性のぶれないチームはウルグアイだ。プレーのひとつひとつが理にかなっていて、よくつくりあげられている。グループリーグでは3連勝しただけではなく、見ていても楽しいサッカーだった。

 選手個々の出来もいい。ウルグアイサッカー史上最多代表キャップを達成したGKフェルナンド・ムスレラから、エディンソン・カバーニ、ルイス・スアレスといったスター選手まで、一貫して調子がいい。

 しかし、何よりもその強さの秘密はベンチにある。今大会最年長の指揮官であるオスカル・タバレス監督は、毎日3時間以上も他チームの研究を欠かさない。ウルグアイは南米の中でも小国で、今回のW杯参加国の中でもアイスランドの次に小さな国だ。にもかかわらず32チームの中でもトップの強さを見せている。クロアチアとともにこの大会のダークホースとなるかもしれない。

 一方、一時は終わってしまったかのように見えたのがアルゼンチンだ。初戦でアイスランドに引き分け、クロアチアには大敗すると、選手と監督の不和は高まり、リオネル・メッシはうなだれた。最後のナイジェリア戦でもアルゼンチンは苦しんだが、終了4分前にマルコス・ロホがゴールを決めて、どうにか首をつないだ。

 そして、ここにきてアルゼンチンはチームの危機を、彼らのやり方で解決することにした。そう、とてつもなくアルゼンチンらしいやり方で......。

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