4得点でもたたかれるC・ロナウド。今大会は珍しく謙虚なのが不気味... (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFP/AFLO

 ぺぺ(35歳)、ジョゼ・フォンテ(34歳)という老練なディフェンスをバックラインに並べ、リトリートで相手を引き込む。じりじりと相手を消耗させながら、鋭いカウンターを発動。一気に仕留めるのだ。

 ロナウドの決定力を最大限に引き出す、その戦いが奏功したのが、優勝したEURO2016だった。戦術=ロナウドも同然といえるが、そうなる理由は単純な能力の問題だけではない。

「ロナウドは苦しい状況に追い込まれたときこそ、本来の力を発揮する。特別な選手だ」

 レアル・マドリードを率いていたジネディーヌ・ジダンはそう語っているが、ロナウドは最も重圧がかかる試合でこそ輝ける。「その星のもとに生まれている」としか説明がつかないのだ。

「俺は鏡の中の俺を見るのが好きだ。自分で自分を評価し、価値を与える。それは大切なことだ」

ロナウド本人はそう語っているが、舌を巻く精神力と言えるだろう。

 ウルグアイ戦。ロナウドがマッチアップするディフェンダーはディエゴ・ゴディン、もしくはホセ・ヒメネスになる。実はどちらもアトレティコ・マドリードの選手で、何度となく対戦している。

「1番以外に意味はないんだよ」

 そんな信条で生きてきたロナウドだけに、相手が優れたディフェンダーの方が、闘争心はかきたてられる。せめぎ合いの中で、さらに強さを増すのだ。

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