完璧なミッション遂行。今大会ワーストゲームでフランスの優勝が見えた (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 その点、フランスは第2戦終了時点でグループリーグ突破が決まっていたため、「2試合に出ていた選手は次のために休ませ、(累積警告による出場停止を避けるため)イエローカードをもらっている3選手は外した」とデシャン監督。第2戦の先発メンバーのうち、DFラファエル・ヴァラン、MFエンゴロ・カンテ、FWアントワーヌ・グリーズマン、FWオリビエ・ジルーのセンターラインに加え、左サイドバックのDFリュカ・エルナンデスだけを残し、6名を入れ替えた。うち4名は今大会初出場の選手である。

 もちろん、大幅に選手を入れ替えた結果、負けてしまっては元も子もない。だが、試合の緩さも手伝って、控えメンバーが大きなプレッシャーを感じることなくプレーでき、しかも首位通過に必要な引き分けという最低限の結果を手にできたのだから、理想的な形でグループリーグを締めくくれたと言えるだろう。

 デシャン監督は「大会を勝ち進むために選手を入れ替えた。同じメンバーで3試合を戦ったチームよりもアドバンテージがある」と言い、「このグループは簡単ではなかったが、首位通過できた。謙虚に野心を持って戦いたい」と先を見据える。

 率直に言えば、内容的に見てフランスのグループリーグでの戦いぶりは物足りなかった。

 それでも、「初戦は十分ではなかったが、2戦目はずっとよくなった」と指揮官。苦戦しながらも勝利を重ねるうちに徐々に内容がよくなり、結果的に余裕を持って決勝トーナメントへ進む。その歩みは、いかにもワールドカップの優勝パターンにハマりつつあるように見える。それほど点が取れないながら守備が固く、失点が少ないのもトーナメント向きだ。

 高いチケットを買ってスタジアムで観戦したファンには腹立たしいほどに退屈だった試合も、5大会ぶりの優勝を狙うフランスにとっては、おそらく完璧なまでのミッション・コンプリートである。

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