ハリル的サッカーのベルギー。
もし日本と決勝トーナメントで戦うと?

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ベルギーは前評判では第2グループに位置していた。ドイツ、フランス、スペイン、ブラジルに次ぐ評価を得ていたが、それらの国との違いは、中盤でボールを支配するサッカーではないことだ。守備的とは言わないが、攻撃的ではない。

 奪ったら、縦に速いサッカーを仕掛けようとする。ロベルト・マルティネス監督のサッカーは、ある意味でハリル的なのだ。ハリルジャパンがそうだったように、実際、ボール支配率は高くない。この試合でも、ベルギーの支配率は、チュニジアの50.4%に対し、49.6%にとどまっている。時間をかけずに攻めていることがよくわかる。後半は、チュニジアの攻撃が雑になるところを、引っかけて速攻を繰り出すパターンが目立った。

 最終スコアは5-2。初戦のパナマ戦が3-0だったので、勝ち点を6に伸ばしたベルギーの総得点は8。得失点差は+6だ。この組のライバル、イングランドに、勝ち点以外の要素では大きなリードを奪っている。G組の首位通過は見えた状態にある。

 そうなると、決勝トーナメント1回戦の相手は、ご承知のように日本が属するH組の2位チームだ。先の話をするのは気が引けるが、日本がそこでベルギーと対戦する可能性は少なくない。

 もしそれが現実となれば、日本にとって悪い話ではない。高い位置からプレスをかけてくるチームではないので、ボールを回すことはできる。引っかけられる心配は、他の強豪チームに比べて少ない。

 一方、アザールが真ん中に入る癖があるので、右サイドで数的優位に立てる可能がある。酒井宏樹、原口元気がカラスコを抑えることができれば面白い。チュニジアの戦い方を見ながら、気がつけば日本代表の戦いを重ね合わせていた。

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