バルサ風か、カウンター戦術か。スペインが勝ち進めるのはどっちだ? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by JMPA

「イランの戦い方は、プレービデオでチェックしていたよ。守りを固め、ゴールをさせない。そこを徹底するチームだというのは知っていた」(イスコ)

 イランはカルロス・ケイロス監督が「poner el AUTOBUS」(バスを置く)というバリケード戦術を採用。ゴール前の人海戦術で、スペースを消した。そしてボールを奪ったら、前線のサルダル・アズムンにボールを預ける。アズムンは質の高い動きでスペインのディフェンダー陣を四苦八苦させた。

 スペインは攻めあぐねて、業を煮やしたセルヒオ・ラモスの攻撃参加で強引にシュートを放つが、それは攻撃が機能していないときの印だった。

「ハーフタイムに修正を施し、後半はプレーが改善された。イスコが左サイドで優位性を発揮し、ルーカス、カルバハルに右サイドで幅を作って、ダビド・シルバが中で仕事をするようになった。我慢強くプレーすることが必要だ、と伝えた」(フェルナンド・イエロ監督)

 後半、スペインは左右から激しく揺さぶりをかける。とりわけ、イスコが左サイドでディフェンスを個人技で翻弄し、イランにダメージを与える。左右のサイドから何回も突破し、クロスを上げ、固まった守備陣形をたわませる。サイドから崩す、という選択は人海戦術の守備に対する正攻法だ。

 そして後半9分だった。アンドレス・イニエスタが中央でボールを持つと、ジエゴ・コスタが前を向けるような気の利いたパスを足元に入れる。ジエゴ・コスタはこれを素早くシュートに持ち込み、いったんはブロックされるも、その跳ね返りが膝に当たって、ボールはゴールに飛んでいった。

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