堂安律がビビりながら監督に迫り、信頼を得たオランダ1年目を振り返る (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― シーズン前半戦はトップ下でプレーし、調子が上がった後半戦は4-2-3-1の2列目の右サイドからスタートするようになりましたね。

堂安 監督に「お前はどっちのポジションをやりたいのか?」と聞かれたとき、「俺はどっちもできるけど、監督はどっちがいいと思う?」って聞き返したら、「まだお前にはハードワークできる能力がないから、トップ下でやってほしい。そこで狭い局面を打開してほしい」と言われて、それで最初はずっとトップ下でプレーしていました。

 ただ、年が明けて後半戦になったときに一度、サイドで起用されたことがあって、そのときに僕の運動量が上がっているように見えたみたいなんです。オランダのチームは4-3-3(4-1-4-1)が多いので、トップ下でプレーすると相手のアンカーにマンマークされる状況が生まれるので、僕としてはマーカーがついてくるトップ下はやりづらいという感覚がありました。そこで監督に「サイドから中に入っていくほうがプレーしやすい」という話をしたら、「じゃあ、そこで使う」と言ってくれて。

 実際、そこで結果を出すこともできたし、これからも右サイドで勝負したいと思うようになりました。だから僕のなかでトップ下はオプションで、右サイドがベストです。

―― 結果を出し続けたことでクラブに評価され、完全移籍を果たすことができました。その話をもらったときは、どんな気持ちでしたか?

堂安 自分との戦いに勝った感じがしましたね。それを目標にこの1年やってきた部分もあったので、すごくうれしかったです。でも、完全移籍したら少し気持ちが楽になるだろうなって思っていたんですけど、完全移籍をしたらしたで、もっとステップアップしたいという新しい目標が生まれるので、楽にはなりませんでしたね。やっぱり、そんな簡単に落ち着くような世界ではないということを改めて感じています。

―― 移籍初年度にこれだけ活躍できた最大の理由は何でしょう?

堂安 チームメイトのやさしさですね。これは本当に、真面目な話です。たぶん僕の力だけでは無理だったと思うので。だからチームメイトのやさしさ、それとクラブの僕に対する愛情をすごく感じています。

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