堂安律がビビりながら監督に迫り、信頼を得たオランダ1年目を振り返る (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― いきなり開幕戦でスタメン出場を果たしましたけど、あのときはエルネスト・ファベル監督にプレー面を評価されて出場したということですか?

堂安 今思えば、あのときは監督が僕のすべてを評価してくれたわけではなかったと思います。サポーターも僕のことを期待していたし、とにかく一度、試合で使ってみようと思ったんじゃないですかね。

 結局、僕自身もその試合は何もできずに終わってしまったので、後悔だらけです。もっと仕掛けるべきだったし、バックパスも多かったし......。あれだったら、仕掛けてボールを失って交代させられたほうがマシだと思ったので、あの後からそういうスタンスに変えました。

―― その後、4試合連続で出場機会がありませんでしたね。そのときはどのようにして状況を変えようとしましたか?

堂安 その時期はかなり落ち込みました。だから、その不安を払拭するために、とにかく練習量を増やしました。練習が終わってから1時間くらい居残りでシュート練習をして、とにかく今までで一番練習した時期だったと思います。

 もしかしたら自分にとっては、あれが一番大事な時期だったかもしれないです。自分と向き合えた時間だったし、居残り練習をした分、シュートがうまくなったと思いますし。それから結果が出るようになったので、今では居残り練習をしないと不安になるので、短い時間でもいいから毎日居残りでシュート練習をするようになりました。

―― スランプを抜け出すキッカケになったのは、国内カップ戦でのゴールでしたよね。それによって、次のリーグ戦でスタメン復帰を果たして、しかもゴールも決めました。

堂安 そのカップ戦の相手が4部のチーム(USVヘルクレス)だったのがラッキーでした。しかも、そのときはチーム状態がめちゃくちゃ悪くて、僕が後半から出場したら試合の流れが変わったので、運がよかったんです。

―― そこで監督から信頼されるようになったということですね。

堂安 はい。監督も僕が居残り練習する姿を見ていてくれたし、その間に僕も監督のところへ行って「なんで俺を使わへんねん?」って聞きにいったこともあったので。

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