2018.06.21

1人で全得点も、ポルトガルは
C・ロナウドのワンマンチームにあらず

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 決勝までの計7試合で、GK以外のフィールドプレーヤー20人全員を起用。その末の優勝だった。逆算する能力が高い監督なのだ。おそらく今回も、逆算の始点は7試合目になっているはずだ。

 その2試合目にあたるモロッコ戦。F・サントス監督は、初戦とスタメンを3人入れ替えて臨んだ。加えて、メンバー交代で送り出した3人も、スペイン戦には出場していない選手だった。

 つまり、起用された選手はスペイン戦、モロッコ戦を通して17人。フィールドプレーヤーに限れば20人中16人だ。出場していない選手は、2試合を消化した段階ですでに4人しかいない。

 この日、ベスト16入りを決めたウルグアイのオスカル・タバレス監督も、2試合で17人の選手を使っている。さらに言えば、スペインのフェルナンド・イエロ監督は16人で、開催国ロシアの監督、スタニスラフ・チェルチェソフは15人となる。上を狙おうとする監督は、このグループリーグを、誰が戦力として使えるかを見定める期間に充てようとするものだ。

 第1戦に勝利して余裕があるウルグアイ、ロシアはともかく、第1戦を引き分けたポルトガルにとって、このモロッコ戦は絶対に勝たなければならない一戦である。まさに監督の力量が問われる瞬間だった。計算ができるメンバーで手堅く勝利を狙いにいくか。リスクを負ってでも逆算の発想を貫くのか。スペイン戦の内容はけっして悪くなかった。並の監督なら迷ったに違いない。