アルゼンチンは「メッシと愉快な仲間たち」でクロアチアに勝てるのか (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 MFのルーカス・ビリアは「メッシがいなかったら、僕らは『まあまあ』か『普通』のチームになってしまう」と言う。だが、これは過大評価だろう。メッシを欠いて戦った3月のスペイン戦に、アルゼンチンは1-6で敗れている。

 現監督のホルヘ・サンパオリは攻撃的なスタイルとプレッシングを好むが、それを試合でやり通せるだけの速いDFやMFがいない。大会直前のアルゼンチン代表は、まだメッシのポジションについても決めかねていた。

 しかしアルゼンチン代表の首脳陣も、戦術など存在しなかった前回のワールドカップ(メッシはボサッと立ち尽くす時間が長く、中盤からドリブルすることが多かった)が決してよかったとは思っていない。アルゼンチン代表のある関係者の言葉によれば、前大会のメッシが「ケーキ」だったなら、今大会はチームが「ケーキ」になり、メッシはケーキにのっているチェリーにならないといけない。

 アルゼンチンは「メッシ依存症」を克服する必要がある。メッシの役割は「プレーの指揮者」のようなものになる(コーチ陣はこの点についてメッシと話し合うことができ、トレーニングで試したかぎりでは機能したという)。実際にアルゼンチンが目指すのは、ときにはメッシ以外の誰かを経由して攻撃し、前線ではメッシ以外の選手がもっと動くというところだろう。少なくとも、それが目標だ。

 このプランがいくらかでも機能して、メッシがバルセロナでやっているようなプレーを代表の最高の舞台で見せたなら、フットボールにとってこれ以上の瞬間はないだろう。

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