アルゼンチンは「メッシと愉快な仲間たち」でクロアチアに勝てるのか (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 メッシがアルゼンチン代表で、大きな国際大会の決勝で4度敗れていることを、周囲は重く捉えすぎないほうがいい。国際大会は長丁場だ。試合結果には、ほんの数センチがものをいうことがある。ポストに当たったシュートがゴールに入ったかどうか、副審がオフサイドと判定したかどうか......などだ。

 メッシはコパ・アメリカの決勝に3度出場し、そのうち2度はPK戦で敗れている(2015年と2016年大会。相手はともにチリ)。2014年のワールドカップ決勝では、ドイツのマリオ・ゲッツェに延長の113分にゴールを決められて敗れた。

 いずれも、ほんのわずかの差だ。メッシの敗北を説明するのに最もふさわしい言葉は「たまたま」だろう。

 それでも母国の期待は、メッシにのしかかる。それに耐えきれなくなったのか、2016年のコパ・アメリカ決勝の後、メッシは代表引退を宣言した(ほどなく撤回している)。

 6月24日にロシアで、メッシは31歳の誕生日を迎える。しかし今大会の彼は、前回大会よりもいいコンディションで本番に臨んでいるだろう。

 この春、メッシのプレーはすばらしかった。しかもバルセロナが早いうちにリーガ・エスパニョーラの優勝を決めたおかげで、メッシにはリラックスできる時間があった。

 メッシにしては珍しいことだが、優勝を決めた後の5月13日のレバンテ戦は欠場している(メッシのいないバルセロナは4-5で敗れた)。アルゼンチン代表のコーチ陣は、メッシが休養たっぷりの完璧なコンディションでワールドカップに臨めたと思っている。

 だがメッシは再び、しっかりしたシステムのない欠点だらけのチームでプレーしなくてはならない。南米予選の18試合で、アルゼンチンは3人の監督と45人の選手を使った。

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