2018.06.09

アルゼンチン代表がW杯前に
トホホ状態。イスラエル戦中止で大騒ぎ 

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 さらにSNSを使って、パレスチナやアラブ各国の人々に、アルゼンチン、特にメッシのユニホームを捨てるように呼びかけた。すると呼応した人々は、アルゼンチンのユニホームに赤い絵の具を塗り、あたかも血塗られたように仕立て、試合が行なわれたら、「アルゼンチンのサッカーの歴史も血にまみれるだろう」と叫んだ。

 アルゼンチン代表はメッシが落ち着いて練習できるからという理由で、彼のホームであるバルセロナで直前合宿を行なっていた。そのバルセロナのホテル前でも、数十人が抗議のデモを繰り広げ、血染めのユニホームが掲げられ、アルゼンチン国旗が燃やされた。

 こうなると、さすがにアルゼンチンの選手たちの間にも動揺が走るようになる。代表のリーダー格であるメッシ、ゴンサロ・イグアイン、ハビエル・マスチェラーノはイスラエル行きを懸念するコメントを出した。

 6月5日、アルゼンチンサッカー協会はついに試合の中止を発表した。その理由は「選手の安全を保障できないから」というものだった。しかし、アルゼンチンサッカー協会を決断に踏み切らせたのは、パレスチナサッカー連盟の「試合を強行するなら、2030年のW杯開催地に立候補しているアルゼンチンに投票しないようアラブ諸国に呼びかけ、もし開催地に決まったとしても大会をボイコットするよう全力で呼びかける」という発言だった。

 試合のドタキャンはすぐに大きな騒ぎとなった

 イスラエル首相はアルゼンチンの大統領に直接電話をかけ、決断を翻すよう依頼したが、大統領は「これはサッカー協会の管轄であり、自分は口を出すことができない」と素知らぬふりをした。