「キックの精度が我ながらエグい」代表・宇佐美貴史は1年前と別人に (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 だから、今はいい意味で肩の力を抜いたまま、目の前の1試合にフォーカスを合わせて最高の準備をし、結果を残すことしか考えていない。実際、今回、日本代表に選ばれたからといって、トレーニングやガーナ戦で何もできなければ、その先のW杯にはつながらないとも思う。

 ただ、そういう覚悟で臨んで、仮に何もできなかったとしても......去年のように、それに苦しむことはもうないかな。そのときは、自分はそこまでの力しかない選手だということを受け入れ、その物足りなさを補うためにやり続けるだけ。どんな偉大な選手も、そうじゃない選手も、結局、選手としての成長って、その繰り返しでしか求められないと思うから。

 といっても、ここまできた限りは、なんとしてでもメンバーに残ってやるという気持ちは強いし、それをプレーで表現したいとも思う」

 自分のことを話しているようで、どこか他人事のような、そんな口ぶりで話す宇佐美に、過剰に気負う様子は感じられない。サッカーの話をすることさえつらそうだった半年前が嘘のように、目の前に座る彼は楽しそうだ。

 であるからこそ、ロシアW杯のピッチに立つ宇佐美の姿が、チラついてならない。プロとして歩き始めて10年。これまでも「サッカーが楽しくてたまらん!」と目を輝かせていたときには、必ずと言っていいほど、ピッチで躍動する姿を見てきたから。

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