「キックの精度が我ながらエグい」代表・宇佐美貴史は1年前と別人に (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 それらが少しずつ身になり、力となって、どんどん体が動くようになっていくのを実感していた。すると、必然的に結果も出るようになり、使ってもらう時間も増え、コンスタントに試合を戦えば自分にもリズムが生まれ、キックの精度も上がっていくというポジティブな連鎖が起きていった。特にリーグ終盤戦での、キックの精度は我ながらエグかったと思う。軌道、速さ、角度まで、自分のイメージと寸分の狂いなく蹴れていたから。

 そう考えても......結局、僕の一番の調子のバロメータはキックなんだと思う。『この強さで、このタイミングで、このコースに蹴る』というイメージどおりにボールが飛んでいくときは、コンディションも確実にいい。それを再確認できたのは、今シーズンの収穫やった」

 加えて言うならば、デュッセルドルフでの1シーズンでポジションやプレーの幅をさらに広げられたのも、彼にとっては大きな収穫だったはずだ。

 MF原口元気が加入してからは、特に右サイドMFとしてプレーすることが増えたが、試合や状況によっては、時に左サイドMFやトップ下でプレーするなど、与えられたポジションに応じてプレースタイルを変化させながら、チームに"必要な選手"として存在し続けた事実は、それを証明するものだろう。

「フォルトゥナではいろんなポジションを預かった分、プレーの幅を広げられた1年になったと思う。『打開の左、連係の右』というか......左で出たときはカットインからのシュートや、より"仕掛け"の部分を強く押し出すことを意識していたし、右で出たときは、自分のところで完結させるというより、生み出していくイメージでプレーしていた分、ドリブルでの仕掛けは減ってしまうけど、シンプルなプレーが研ぎ澄まされた。

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