「サッカーが楽しくない」宇佐美貴史を襲ったサッカー人生最大の苦悩 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Getty Images

 そんな彼が再起を誓い、自分に対して「ラストチャンス」と課したのはウインターブレイク中のこと。日本に戻り、地元・京都で自主トレを行なっていた彼は、何かを決したかのように、だけど、どこか解き放たれたような表情で話していた。

「とにかく全部。やれるだけのことは全部やる。ラストチャンスやから」

 事実、このウインターブレイクの間、彼はパーソナルトレーナーとともにトレーニングを積むだけではなく、知人を通してスポーツ内科を勉強するなど、さまざまな角度から自身に変化を求めていた。

 それは、ドイツに戻ってからも同じで、再開までの時間を惜しむように、食生活では摂取のタイミングにまで細かく気を配り、練習以外の時間もパーソナルトレーナーとともに、より感覚を研ぎ澄ませることを狙いとしたトレーニングを行なっている。

 これは、何も半年後に迫っていたロシアW杯を意識してのことではない。というより、10月に日本代表メンバーから漏れて以降、この時期の宇佐美は「今はW杯のことを考えることすらない」と話していたことを思えば、そうしたピッチ内外でのチャレンジは、あくまでプロサッカー選手としての"ラストチャンス"に懸ける覚悟の表れだ。

 そして、その時間は、再開後のブンデスリーガ2部の舞台で一気に花開いた。

(つづく)

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