やや苦戦→交代で采配的中。ジダンの「自作自演」でレアルCL3連覇 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 イスコがピッチを去り、交代でサイドアタッカーが投入されると、問題はまさに雲散霧消する。昨シーズンの決勝に限った話ではない。中盤ダイヤモンド型4-4-2より、サイドアタッカーが投入され、4-3-3や中盤フラット型4-4-2になった場合の方が、レアル・マドリードのサッカーは断然、円滑になる。

 この決勝戦。イスコと入れ替わりでガレス・ベイルが投入され、布陣が4-3-3になったのは後半16分。スコアはそのとき、1-1だった。

 レアル・マドリードは後半6分、ベンゼマがリバプールGKロリス・カリウスのフィードミスを引っかけ、あっけないゴールで先制した。

 さすがにこのままで終わったら、試合は締まらない。リバプールの反撃に期待すると、その4分後、コーナキックをデヤン・ロブレンが頭で落としたボールに対し、サディオ・マネがコースを変えゴールに流し込む。

 ジダンがイスコを諦め、中盤ダイヤモンド型4-4-2を断念したのは、同点に追いつかれたこのタイミングだった。ジダンにも自覚はあるのだろう。引っ張りすぎることはない。傷が深くなる前にあっさり変える。

 スコアは1-1。エースが故障でリタイアしたリバプールに対し、万全の態勢を整えることになったレアル・マドリード。その差がスコアになって表れたのは、ベイル投入のわずか4分後だった。

 確かベイルはそれまでの間に、1度しかボールを触っていなかった。問題のシーンは2タッチ目の出来事だったと記憶する。左サイドでボールを受けたマルセロはそれを持ち直し、軽く切り返すと、利き足とは逆の右足で柔らかいボールを中央に送り込んだ。

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