マドリー、バイエルンの得点レシピを欧州サッカーの食通3人が味わう (5ページ目)

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倉敷 僕が感心したのは得点シーンです。ゴールの多くはサイドに起点を作って生まれたものでしたが、サイドを使っていてもすべてバリエーションが異なる。サイド攻撃のレシピ本に載せたい、クオリティの高いこじ開け方でした。

中山 マドリーの最初のゴールはすごかったですね。あれだけ長い時間ボールを相手に触れさせずにポゼッションをしていると、普通は相手も守備陣形をしっかり作ってしまうのでゴールの匂いはしなくなるものですが、あの場面ではコヴァチッチがマルセロに入れたサイドチェンジと、マルセロのクロスが、質とタイミングの部分で実に秀逸で、最終的には完全に崩した格好でベンゼマのヘディングシュートが決まりました。

 今シーズンのマドリーは、開幕当初はポゼッションスタイルを極めようという姿勢が見られていたのに、結果が出なくなったことでジダンはそれをあきらめたという経緯があっただけに、紆余曲折はあったにせよ、あのゴールシーンは今シーズンの集大成と言えるものだったのではないでしょうか。

倉敷 ラストパスを出したマルセロは、ボールを止める、蹴るという基本技術がずば抜けてうまい選手です。前半終了間際にはボックス内でハンドも犯していますけどね。バイエルンの選手たちはトルコ人レフェリーのジュネイト・チャキルにPKを取るべきだと強くアピールすべきシーンでした。

中山 マルセロ本人も、試合後にハンドがあったことを認めていましたからね。第1戦の故障者といい、第2戦のジャッジといい、バイエルンはツキがありませんでした。しかも、1-1で迎えた後半に反撃を試みようとしたところで、GKスヴェン・ウルライヒが信じられないようなミスを犯してしまって......。

倉敷 マヌエル・ノイヤーの不在を感じましたね。ウルライヒにとってはこれからキャリアの終わりまで、もう二度と起こらないレベルのミスかもしれませんが、高くつきました。

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