日本でいちばん「世界の超一流FWを知る男」は、W杯ベスト8を狙う (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 昨季、試合に出られるようになって、大きな目標とか野心を持って挑んだシーズンだった。もちろん昨季よりいいものにしたいと思ったし、自分のキャリアのなかでピークになるシーズンにしたいなって思っていたので、満足感はまったくないです。

 だけど、チームとしても、個人としても、ここ(残留争い)を乗り越えたっていうのは、ひとついい経験になったなと思います。残留争いはもうしてはいけないし、そういうチームではないとも思う。さらによくなるために、もっと勝負強さ、勝ちグセをつけていけるようなチームにならないと。個人としても、チームとしても、そうだと思う」

 マンチェスター・C戦で、吉田は3-4-2-1の3バック中央の位置で先発した。対峙するFWラヒーム・スターリングには読みのよさを生かして、インターセプトと素早い寄せで上手に抑えていた。

 63分の被カウンター時には、ボールホルダーのスターリングに迂闊(うかつ)に飛び込まず、後方に流れてくるブラジル代表FWのガブリエウ・ジェズスの動きを注視しながらスターリングのドリブルをブロック、冷静な対応が光った。縦パスの入ったスターリングに激しく寄せて、力強くマイボールにするシーンも複数回あった。リーグ覇者マンチェスター・Cを相手に、センターバックとしての職務を忠実にこなしていた。

 しかし後半のアディショナルタイムに、ベルギー代表MFのケビン・デ・ブルイネのロングパスからジェズスが得点。残り時間30秒弱のところで失点したサウサンプトンは、吉田の言うように「ツメの甘さ」が出てしまった。

 ただ、こうしたひとつひとつの経験が、吉田にとって大きな糧になっている。マンチェスター・C戦も前出のスターリング(イングランド代表)やジェズス、デ・ブルイネをはじめ、レロイ・サネやイルカイ・ギュンドアン(いずれもドイツ代表)、ベルナルド・シウバ(ポルトガル代表)といった各国代表のアタッカーがズラリと並ぶ。

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