「ハリルに呼ばれなかった男」の運命が
好転。移籍&代表復帰はあるか

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AP/AFLO

 1部残留を決めた試合後のロッカールームは大騒ぎに。少し冷静さを取り戻した武藤は、それでも満面の笑顔で現れた。

「ありがとうございます。シーズンのはじめにも『(今季は)ケガをしないで』と言いましたけど、またケガで8試合出られなかったので、そこは非常に悔しいです。だけど、今日こういう緊張した一戦で、ドルトムント相手に点を決められたということは非常に自信になりますし、去年に続いて残留を決めるゴールを獲れて、今日は本当に嬉しいです」

 この数週間、武藤には移籍の噂が絶えないのだが、それについては「まだあと1戦あるのでなんとも言えないです。チームの雰囲気を悪くしたくないので、ちょっと待っていてくださいとしか言えないかな」と含みを持たせた。

 ビルト紙の報道によれば2000万ユーロ(約26億円)という高額の移籍金が設定されたとのことだが、「僕はこの間、別に何も言ったつもりはないのに(移籍希望と書かれた)......。チームメイトにも移籍金でいじられるし」と、笑いながら煙に巻いた。

 とはいえ今季チーム最多の8得点を挙げたストライカーだ。おそらくオファーはあるのだろうし、武藤にもマインツにとどまる義理はない。マインツ自体、選手を売ることで経営を成り立たせていくクラブだけに、もしかしたら楽しみなことになるかもしれない。

 ちなみに8得点は今季のブンデス日本人最多。過去には岡崎慎司がやはりマインツで2013~14シーズンに15得点、2014~15シーズンに12得点を挙げてレスターへと羽ばたいた。香川真司は2011~12シーズンの13得点が自己最多で、それに続くのが2010~11シーズンの8得点となる。8得点というのはそれくらい価値のある数字。当然のことながら日本代表への復帰も期待される。

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