レアルとバイエルン。4強「常連さん」の
戦術をCL研究家3人が説く

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中山 両チームの戦力と経験値からするともっと差があると予想していただけに、意外とセビージャが健闘したという印象があります。惜しまれるのは、先制した直後にオウンゴールを献上してしまったことでしょう。

 もし前半を1−0で終えていたら、もっと違った展開が待っていたように思います。裏を返せば、バイエルンの試合巧者ぶりが光っていたともいえ、特にユップ・ハインケス監督の第1戦と第2戦のメンバーの使い分けは、さすがだと感じました。

 今シーズンのバイエルンは4−3−3を基本にしていますが、アウェーでの第1戦はトーマス・ミュラーを右ウイングに置いて、中盤をハビ・マルティネス、ティアゴ、アルトゥーロ・ビダルという構成にしてバランスを重視。

 逆に、ホームの第2戦はアリエン・ロッベンを右ウイングにして、中盤はハビ・マルティネス、右にミュラー、左にハメス・ロドリゲスと、攻撃型のメンバー編成で臨みました。第1戦の前半途中にビダルが負傷退場したこともありますが、この辺りの冷静沈着な采配ぶりは、百戦錬磨のハインケスならではと感じます。

小澤 確かに第1戦では前半から左サイドバックのフアン・ベルナトがやられていたと判断して、スパっと諦めて後半からラフィーニャを投入しましたしね。そういった交代カードの切り方などは、さすが名将ハインケスといったところですよね。

倉敷 バイエルンはリスクを回避すべく外から攻めるという狙いを持っていましたが、セビージャは巧みにバイエルンの右サイドでのインターセプトを狙っていました。ヨシュア・キミッヒとミュラーの関係がそれほど良くなかったので面白い狙いだなと思ったのですが、そこを狙った直後にカウンターを受けて不幸なオウンゴールで同点、さらに逆転されてしまった。

 ラモン・サンチェス・ピスファンで勝てないとなると、このチームは厳しい。ユナイテッド戦の再現を目指した第2戦は0−0でしたが、内容は悪くなかった。バイエルンが狙っているところとセビージャが狙っているところがそれぞれ違っていて、開かれたゲームとは言えないけれど、お互いを消し合うゲームでもなく、チャンスの多い面白い試合でした。

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