レアルとバイエルン。4強「常連さん」の戦術をCL研究家3人が説く (2ページ目)

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中山 ユーベ側から見ると、本来最大の武器であるはずのディフェンスにおいて、らしくないゲームをしてしまったことが敗因でしたね。1失点目は、ドウグラス・コスタとマッティア・デ・シリオが門を作って簡単にスルーパスを通されてしまったというイージーミスが原因でしたし、2失点目はGKとCBの連係ミスから生まれています。

 ジャンルイジ・ブッフォンとジョルジョ・キエッリーニという経験豊富なベテラン2人が、この大事な舞台でミスを犯してしまうとチーム全体の士気にもかかわってくるので、その時点でユーベに反撃するエネルギーは失われてしまったと思います。

 しかもその2分後、パウロ・ディバラが2枚目のイエローカードをもらって退場したことが決定打となりました。確かにミラレム・ピアニッチとメディ・ベナティアが出場停止だったことも影響したとは思いますが、本来計算できているはずの守備にミスが多く、攻撃のキーマンも期待に応えられずに退場するなど、ユーベにとっては悪いものがすべて出てしまったゲームでしたね。

倉敷 マドリーが大人のチームなのは、ディバラが退場し10人になったところで、すかさずマルセロが3点目を取りにいくというところです。第2戦を前にここで相手を諦めさせることができるという判断、経験値の高さを感じました。そして瞬時にその意図を読み取ったロナウドがお膳立てをするわけで、マドリーの強さはこういうところにも見られますね。

中山 マドリーの強さでいうと、ここにきて再びジダンのマネジメント力というものが真価を発揮している印象があります。この2試合、ジダンは中盤ひし形の4−4−2を使ってトップ下にイスコを起用しましたが、ラウンド16のパリ・サンジェルマン戦ではマルコ・アセンシオとルーカス・バスケスを使って中盤フラットの4−4−2を採用してそれが勝因のひとつになっていました。

 その時期はイスコが周囲に不満を漏らすというような報道もありましたが、それが一転、準々決勝になったらそのイスコを重用し、彼も期待に応えて先制点をアシストするなどしっかり仕事をするわけです。シーズンの大事な終盤になってチーム内にあった不満が次々と解消され、現在またチームがひとつにまとまってきた。パリ戦前までにあった負のサイクルが、遠い過去のように感じます。

倉敷 イスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケスといった駒を試合ごとに使い分けることで信頼を取り戻したジダンとマドリーは、このまま3連覇への道を突き進めるでしょうか? 

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