バルセロナのオーラが消えちゃった。ローマに「実力負け」でCL敗退 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 選手個人の問題もさることながら、肝心な点はやはりサッカーの中身だ。バルサの伝統的なスタイルを、エルネスト・バルベルデ監督の采配のなかに見ることはできない。従来のバルサ色を失ってしまったのが、今季のバルサだ。魅力度は大幅に減退した。

 ホームでのCL準々決勝第1戦でローマを4-1と下したバルサだが、このなかにはPKによる得点が2点含まれている。内容にはスコアほどの差がなかった。とはいえ、第2戦でローマがバルサを3-0で下す可能性は低いとみるのが自然で、第1戦を終了した段階でバルサのベスト4進出は決まったも同然に見えた。

 それでも事件は起きてしまった。

 ローマはイタリアにあっては、攻撃的サッカー志向の監督が指揮を執るケースが目立つチームだ。リュディ・ガルシア、ルチアーノ・スパレッティに続き、今季から監督の座に就いたエウゼビオ・ディ・フランチェスコも、そのなかにしっかりカテゴライズされる監督である。

 目標スコアは3-0。通算スコア4-4ならば、アウェーゴールの差で勝利はローマに転がり込む。ならばどんな作戦を立てるべきか。

 2004~05シーズンのCL決勝ミラン対リバプール。前半を0-3とされて折り返したリバプールの監督、ラファエル・ベニテスは、布陣を4-2-3-1から、中盤ダイヤモンド型3-4-3(4列表記でいえば3-3-3-1的な布陣)に代え、ミランに対して高い位置から激しくプレッシャーをかけた。

 そして3-3に追いつき、延長PKを制して優勝を飾ったのだが、この日のディ・フランチェスコ監督も、そのときのリバプールを想起させるような攻撃的な作戦を立て、バルサ戦に臨んだ。

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