メッシ、試合中ほぼ歩きながら決勝ゴール。バルサ通の3人も驚く効率 (4ページ目)

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倉敷 エンゴロ・カンテという世界トップレベルの中盤がいても誰に水を運べばいいのか分からないような状況に陥ったチェルシー。試合を支配した時間もありましたが、結局は前線の3人の能力を活かす最高のバランスを見つけられなかった。コンテが戦術をチームに落とし込む時間がもっとあれば違った展開もあったでしょう。プレミアの過密なカレンダーはやはり影を落としています。

 08-09シーズン以降の欧州カップ戦決勝ラウンドでイングランド勢は24回スペイン勢と対戦し、勝ち上がったのはわずか4回。苦手意識もあるでしょうが、ラ・リーガはチーム間の競争力に課題があるフランスリーグアンや、日程の問題があるイングランドプレミアリーグと比べてリーグのバランスの良さがプラスに作用しているのでしょうね。

中山 話をバルサに戻しますけど、ある番組の中で解説者の羽中田昌さん(ブリオベッカ浦安監督)がとても興味深いデータを紹介しながら、この日のメッシのプレーを解説していました。それによると、メッシがこの試合でスプリント(全力疾走)した距離はわずか92.3m! 100mにも満たないという驚くべきデータが出ていました。その他の内訳は、徒歩が6.67km、ジョギングが867m、ランニングが397mとなっていて、つまり試合全体で動いた距離の83.1%が徒歩だったということになります。

 ところが、2点目はセスク・ファブレガスが中盤でボールを受けた瞬間を狙ってメッシがプレッシャーをかけてボールを奪ったところから始まったわけですし、3点目のシーンでも、ハーフウェイライン付近から長い距離をスプリントして、スアレスからパスをもらってゴールを決めています。全体のわずか1.15%しかスプリントしないのに、これだけ効果的なプレーができる選手は他にいないでしょう。

小澤 最近のメッシは、若い頃よりも頭の中が洗練されて、状況理解力が抜群に良くなっていますね。すべての動きが効果的で、歩いていることさえ効果的という。守る側からすれば、止まっている選手をどのようにマークするかという策はないですから

倉敷 メッシをどう称賛するべきか? 新聞は見出し作りが悩ましい、中継で添えるコメントも難しい。彼を讃える言葉探しはすでにメディアの課題になって久しいわけですが、ここにきてまた進化を遂げている。メッシを見ていられるのは幸福な時間です。

 チャンピオンズで100ゴールを達成したメッシを擁するバルサは、準々決勝でローマと対戦します。現在はバルサ有利と見る向きが強いようですが、小澤さんの印象はいかがですか?

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