金満パリはなぜCLで勝てないか。会長の代わりに、あの3人が考える (4ページ目)

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中山 マドリーの守備という点では、この試合ではカゼミーロも効いていましたね。1対1の勝負ではほとんど勝っていましたし、このレベルの試合になった時のカゼミーロの凄味をあらためて感じました。コヴァチッチとともにラビオとヴェラッティのところをしっかり抑えたうえ、嫌らしいディフェンスをしてエースのエディンソン・カバーニをイライラさせる仕事もやっていて、この試合の陰のMVPと言える仕事ぶりだったと思います。

倉敷 勝ち上がったマドリーについては、また次の機会で触れるとして、ここでは敗退してしまったパリにもう一度視点を戻しますね。4-4-2で中盤も外もがっちり走って守ったマドリーの守備を破るためには、やはり2億2000万ユーロの男、ネイマールが必要だった気がします。

 彼がいないとムバッペとカバーニはいよいよ本来のプレーから遠ざかる。ムバッペからカバーニへのパスはわずか1本でした。左サイドでムバッペがチャンスを作ったのは1回だけ。エメリ監督は後半からサイドを入れ替えましたが、独りよがりなプレーも多く、このレベルでの経験がまだまだ必要なことを露呈してしまいました。

 右サイドでスタートしたアンヘル・ディ・マリアには大きな期待がかかりましたが、ヴェラッティから良いタイミングでボールが入らないためにリズムが悪く、頑張ってボールに触ってはいましたが、クロスの精度を欠くなど彼の日ではありませんでした。

 経験値の高い選手が揃うパリですが、チームとしてはそれを発揮できなかった。この夏4億ユーロを費やしましたが、優勝はおろかこのラウンドすら通過できなかった。勝つための経験はお金では買えないということをあらためて感じますね。

中山 今シーズン、パリがダニ・アウヴェスを獲得した意味というのはそこにあったわけですけど、その本人が大事な試合で失点につながるボールロストをしてしまいました。それと、ディ・マリアに関していえば、あまりにもパスミスが多かったですし、ボールを奪われることも多かった。

 もちろん追い込まれた状況で迎えた試合だったので、選手たちに焦りはあったと思います。しかし、やはりこういう状況になった時は、ネイマールのような別格のタレントが試合を決めることが多いので、彼の不在はパリにとって想像以上に大きかったと思います。ネイマールの背中を見ながら成長しているムバッペも、頼る先輩がいなかったことで、どこに軸を置いてプレーすればいいのか迷っていたように見えました。

 結局、マドリーのクリスティアーノ・ロナウドはこの2試合で3ゴールを決めていますが、こういう大事な試合を決めるのはやはり彼。同じことは、バルサのメッシにもいえます。ところがパリは、その2人と肩を並べそうなビッグネームのネイマールを手に入れながら、もっとも重要な試合で起用できなかった。これは、パリのアル・ケラフィ会長にとっても痛恨だったと思います。

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