スーパースターを買い集めても、PSGが欧州ですぐ負けてしまう理由 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 PSGがチャンピオンズリーグで準決勝にさえ進んだことがない理由のひとつは、カタール人のオーナーたちがスター選手に飛びつくことだろう。PSGは昨年、ネイマールをバルセロナから2億2200万ユーロ(約290億円)の移籍金で獲得した。さらに、いま10代で世界最高の選手であるキリアン・ムバッペをモナコからレンタル移籍で獲得し、今年の夏に1億8000万ユーロ(約235億円)で完全移籍させることを約束した。

 この2人のケースは、フットボール史上最も高額な移籍の上位2件だ。しかし、2人はPSGに必要なかったともいえる。すでにこのクラブには、ユリアン・ドラクスラーやアンヘル・ディ・マリアなどすばらしいFWがいた。彼らは今、ベンチスタートがほとんどだ。

 一方、オーナーたちはFW以外のポジションでは倹約に努めた。マドリード戦のメンバーを見ても、MFから後ろは安上がりな選手がほとんどだった。GKのアルフォンス・アレオラ、MFのジオバニ・ロ・チェルソやハビエル・パストーレ、それにベテランのダニ・アウベスやチアゴ・モッタ、チアゴ・シウバ、ラサナ・ディアラらは(少なくとも今は)ワールドクラスとはいえない。

 司令塔のマルコ・ベッラッティは、19歳の天才プレーヤーという触れこみで2012年にPSG入りして以来、ほとんどうまくなっていない。レアル・マドリード戦でPSGの最後の希望を打ち砕くレッドカードを受けたことからもわかるように、成熟もしていない。
(つづく)

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