スーパースターを買い集めても、PSGが欧州ですぐ負けてしまう理由 (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 PSGが抱える問題のひとつは、フランスリーグでは群を抜いた強さを誇るために、所属するリーグの魅力を自らの手で失わせてしまっていることだ。この点がよく表れたのは2月末、ライバルであるはずのマイセイユと72時間のうちに2度戦ったときだ。1試合はリーグ戦、もう1試合はカップ戦だった。

 この2チームの対戦は、フランスのフットボールで最も熱い戦いとされている。テレビ局のカナル・プリュスはこの対戦をスペインリーグのバルセロナとレアル・マドリードの戦いになぞらえて「ル・クラシコ」と呼び、盛り上げようとしていた。

 ところが結果は、2試合ともPSGが3-0で圧勝した。マルセイユはフランス版のクラシコに、2011年11月以来、勝っていない。マルセイユのGKスティーヴ・マンダンダは2試合目にも3-0で敗れた後、こう語った。「別に何とも思わない。だって向こうのほうが強いんだから」

 マルセイユとの2試合目より関心を集めたのは、この日はピッチにいなかったひとりの選手だったかもしれない。ちょうどキックオフの時間あたりに、ネイマールはリオデジャネイロへ向かう飛行機に乗り込んでいた。6月のワールドカップに備えて足の手術を受けるためだ。彼はレアル・マドリードとのチャンピオンズリーグ第2戦を欠場した。

 この春、PSGはここ6シーズンで5度目のリーグ優勝を果たすだろう。おそらくは国内で3冠に輝くはずだ。

 しかしカタール人のオーナーたちは、もっと大きなものを目指している。チャンピオンズリーグの制覇だ。カタールの首長はレアル・マドリードとの試合を観戦するために、パリまでやって来た。

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