チェルシーは、どうやればバルサに勝てるか。戦術マニアの3人が考えた (4ページ目)

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小澤 この試合では、序盤からアザールが左に流れ、ウィリアンが右に出ていくカウンターや大きなサイドチェンジを仕掛けたこともあって、バルサの両サイドバックのジョルディ・アルバとセルジ・ロベルトが高い位置をとり難くなっていました。当然、敵地での第1戦ということもあってバルベルデ監督から上がりすぎないよう指示を受けていた可能性もあります。

 今季のバルサの4−4−2では基本サイドバックが攻撃の幅と深さの両方を取りにいく役割を担っています。右サイドハーフにウスマン・デンベレやアレイクス・ビダルが起用されれば、セルジ・ロベルトはインナーラップを仕掛ける連係も見せますが、パウリーニョはボールを受けた後にドリブルで突破を図るタイプの選手ではないですし、イニエスタのようにスペースがない中でもボールを引き出せるポジショニングで前を向く技術はないので、彼が消えてしまったのはある意味で仕方のないことでした。

 それと、これはスペインのメディアでも言われていますが、パウリーニョは昨夏にシーズン中の中国スーパーリーグから移籍してきたため、夏のオフがなかったことで最近はコンディションが低下しているように見えます。それも影響しているでしょうね。

倉敷 バルベルデが気にしていたバルサの右サイド。ウィリアンには決定機が3回ありましたがひとつ目のチャンスはパウリーニョのミスから、ふたつ目はセルジ・ロベルトのところから始まっています。ともに右サイド。いつもならハーフタイムにズバリと修正するバルベルデですが、ウィリアンのサイドを抑えきれていないと気付いていながらこの試合ではあまり動きませんでしたね。

小澤 国内とは相手のレベルが違いましたから、本当の意味でバルサの監督としての力量が問われる大舞台、大一番で彼の本性というか采配の傾向が見えました。序盤から硬直した試合展開でありながら、両サイドバックのポジションを上げるような攻撃的なテコ入れはせず、カウンターのケアをしながら外循環のボールポゼッションをさせ、イニエスタ、メッシの創造性、個の力に頼る保守的な面があることが確認できました。

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