CLパリ対マドリーで大逆転はあるか。欧州番長の3人が可能性を探る (3ページ目)

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小澤 カゼミーロを下げたことは少し驚きましたけど、交代の意図は的確だったと思います。中盤ひし形の4-4-2を採用したことで相手のサイドバックをケアする選手がいなかったため、どうしてもパリの両サイドバックのユーリ・ベルチチェとダニ・アウヴェスを自由にさせていた部分がありましたが、ルーカス・バスケスとアセンシオを入れて中盤をフラットにしたので、2人の攻撃を消して守備に奔走させることができました。

 逆に、パリは66分にカバーニを下げてトーマス・ムニエを入れてムニエがサイドバック、アウヴェスが1段ポジションを上げました。エメリとしてはマドリーの左サイドバック、マルセロの攻撃参加を警戒したダブルSBで右サイドを強化してきたのだと思いますが、ほぼ消えていたとはいえマドリーからするとカバーニが下がり、ムバッペが1トップのセンターに移動したことは逆にマドリーDF陣の守備の心配を減らし、マルセロ自身もより攻撃参加に気持ちを傾けることができる采配でした。そういう点でも、エメリ自身が自ら苦しい状況に持ち込んでしまったことは明らかで、批判されて当然でしょうね。

中山 アウェーで1-1なら良しと考えたエメリの弱腰の采配と、ホームでは絶対に勝ちたいと考えたジダンの強気の采配。この対照的な両監督のベンチワークが試合の流れを変えたと思いますし、特にジダンの選手交代のメッセージはダイレクトにピッチ上の選手に伝わったように見えました。

小澤 もちろんパリのスタッツを見ると、カバーニのパス本数がわずかに8本しかなかったので、彼を下げるという采配も一部理解はできます。しかし、本来カバーニはワンタッチゴールのフィニッシャーで、ネイマールから1本、ムバッペからのパスは0本でしたので3トップの連携、フィニッシュ局面でのコンビネーションの部分をテコ入れした方がマドリーとしては怖かったはずです。

 たとえばネイマールがカットインした時にカバーニとワンツーで崩す形などは、エメリが試合中にコーチングで意図的に現象として引き出すことは可能なわけです。カバーニの脅威が消えたことで特にマルセロは躊躇なく攻撃参加できる心理状態になりました。

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