急に出番がなくなった浅野拓磨。そのとき長谷部誠のアドバイスは...? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

「それ(求めていること)が知りたくて、監督にも話しにいったりしたんですけど、監督には『特に練習を見てメンバーを決めてはいない』と言われて。じゃあ僕は何をすればいいのか?とは聞きましたけど、この2、3週間は、これまでの経歴やどういう選手かというのを見て判断して、試合を考えてメンバーを決める、と。でも、僕は練習でアピールするしかないので......」

「練習の出来でメンバーを判断しない」と監督に言われたという話を選手から聞いたのは、これが初めてかもしれない。

 実際のところや内心がどうであれ、監督というのは「いつも君を見ているよ」というメッセージを発することで選手のモチベーションを高めていくのが仕事のひとつなのではないか。たとえ試合でのパフォーマンスこそがすべてだと考えていても(練習ではからっきしダメでも、試合になると実力を発揮する選手はドイツには結構いる)、それを公言することは少ない。そんなことを言われたら、選手は何を支えに練習に取り組めばいいのだろうか。

「監督もそうは言っていますけど、練習は毎日やっていますし、それを覆すのは自分自身だと思っているので、そうは言われましたけど練習でやっていくしかないなという感じですね」

 浅野は淡々と続けた。

「今、自分が監督に何かを求められているとか、練習で全然できていないというなら、何かを変えないといけないと思いますけど、今は自分の感覚として、やり続けるしかないなって感じなので......。

 チャンスはいつかやってくる。そのチャンスがきたときに無駄にしないように、常にいい準備をし続けるしかないな、と。自分の中ではいい準備はできていると思っているので、どうすればいいのかなと思ったりもしますけど、常に準備態勢を整えておくしかない。答えはいつも一緒ですね」

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