日本企業DMMがベルギーの
サッカークラブを買収。その狙いは何か?

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 昨年11月15日、DMMグループはベルギー1部リーグ所属クラブ「シント=トロイデン」の経営権を取得したことを発表した。

 1980年代の日本企業は欧米を中心に、世界中に販路と生産拠点を作っていた。その進出先で彼らはプロサッカーチームのメインスポンサーとなり、企業の知名度を上げていった。当時、「もしかしたらサッカーに関わる仕事ができるかも」と淡い夢を抱いた私は、そういった企業の面接を受けに行ったものだった。

ベルギー1部リーグに所属する中小クラブ「シント=トロイデン」ベルギー1部リーグに所属する中小クラブ「シント=トロイデン」 あれから40年近くが経った。

 日本企業は変わらずヨーロッパ中にあるし、今では有名・無名問わず日本人サッカー選手はいたるところでプレーしている。だが、日本の会社が欧州のサッカークラブを経営することは滅多にない。本田圭佑(パチューカ)が自身の会社『ホンダ・エスティーロ』を通じてオーストリアのSVホルンに経営参入しているが、それは極めて稀なケースだ。

 2004年にはインデックス社がフランスのグルノーブルを買収し、リーグ・アン昇格という成功を収めたこともあったが、会社の業績悪化によって志半ばでクラブを手放した。そのインデックス社はもうない。

 今回の経営権取得について、FC東京のGM職も務めた経歴を持つシント=トロイデンの立石敬之最高経営責任者(CEO)は、「チャレンジですよね。今後は指導者やトレーナーたちにもいろいろチャレンジさせたい」と抱負を語る。

「一番大事なのは、『現地のサポーターたちが求めているものは何か?』ということなので、(自分たちの力を)乱用しようとは思っていない。まずはユースレベルの交流から始めたい。トップチームに関しては、いきなり交流ということはできないと思うので、セカンドチームといったプレッシャーの少ないところから交流したいです」

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