スタメン落ちの武藤嘉紀。ライバル2人のゴール連発に「自分も結果を」 (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 そんなマインツのFWには数少ないチャンスをモノにする決定力が求められるし、それをやり遂げてきたからこそ、武藤はサンドロ・シュヴァルツ監督から信頼を得てきた。

「今日もあそこ(前半40分)で(クアイソンが)1チャンスで決められたということが非常に大きかった。あれが決まっていなかったら、またやられていたと思います。(守備のために)引いていても、ワンチャンスを決められればいい試合ができるんじゃないかなと思いますね」

 武藤は自分に言い聞かせるようにそう言った。

 武藤が後半戦で好スタートを切ったことは、必ずしも武藤自身にいい影響を与えたとはいえないようだ。結果を出して自信がついたことにより、チャンスの場面でも「周りが見えすぎてしまう」という。それにより、貪欲にゴールを狙うという武藤のよさも影をひそめてしまった。ヘルタ戦でもスルーパスで味方の決定機を演出した武藤だったが、「今日も貪欲に点を取りにいかなきゃいけなかった」と反省を口にした。

 チームもメンバーを入れ替えての試行錯誤が続く。冬の移籍市場では、ケルンとブレーメンで2季連続リーグ戦2桁得点をマークした実績を持つアントニー・ウジャを中国から獲得したが、ここまでほとんどチームの助けになっていない。

 後半戦開幕直後は、スピードが持ち味のクアイソンが武藤と2トップを組んでいた。だが、前節ホッフェンハイム戦でグアイソンは、高さが持ち味のエミル・ベルクグレーンに先発の座を譲る。チャンスをもらったベルクグレーンはホッフェンハイム戦で2得点をマークした。

 そして今回のヘルタ戦ではゴールから遠ざかっている武藤が先発から外れ、代わりに入ったクアイソンが2ゴールを決めた。チャンスを与えられた選手が結果を出したことで、武藤の立場は苦しいものになった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る