堂安律がオランダでムキムキと体重増、
監督にはビシビシともの申す

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 その1分後、GKセルジオ・パットのロングフィードを2トップが前線でつなぎ、ペナルティエリア中央へ走り込んだ堂安にボールが通る。狙いどおりの連係だったが、後方からフェイエノールトのMFカリム・エル・アフマディが粘り強く堂安を追ってきて、シュートを撃つ寸前にボールをカットされた。

 エル・アフマディは昨季優勝したフェイエノールトのキャプテンで、『アルヘメーン・ダッハブラット』紙が選ぶベストプレーヤーに輝いた選手だ。卓越したポゼッション能力と闘志あふれるプレーで、弱点の得点力不足を補っている。モロッコ代表の主力としてロシアW杯にも出るだろう。

 まだオランダに来て間もない堂安が昨年11月、フェイエノールトと試合をしたあと、エル・アフマディから「お前はこのチームでもっと中心になってやれよ」と声をかけてもらい、「とてもうれしかった」という。

 今回の試合前もエル・アフマディが堂安のことを意識していることを感じ、お互いに「がんばろうぜ」と声を掛け合った。そして、タイムアップの笛が鳴ると「(足もとを)蹴ってゴメンな。強くいってゴメン。フットボールだから仕方がないんだ」と話しかけられ、文字どおりのノーサイドで健闘を称え合った。

 チームの実力に差があるからこそ、フェイエノールト戦の堂安は多くのマッチアップを楽しんだという。

 フェイエノールトの右サイドにはリーグ得点王争いでトップを走るウインガーのFWスティーヴン・ベルフハイスと、縦へのラッシュでペナルティエリア内の右45度からのシュートを果敢に狙ってくるサイドバックのDFジェリー・シン・ジュステがいる。堂安が中に絞ってプレーすれば、そこにはパワーと戦術眼に秀でたオランダ代表レフティのMFトニー・ヴィリェナ、そしてエル・アフマディともクラッシュした。

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