光った柴崎岳、ハマらぬコウチーニョ。2人の違いでバルサが大苦戦に (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke、 photo by Reuters/AFLO

 だがクラブもベンチも、その後任として加入したコウチーニョに、そうした縛りを掛けていない。4-4-2上で4-3-3的なバルサ的テイストを維持するためには、両サイドハーフが、ポジションワークに気を配る必要があるというのに、だ。

 真ん中に入りたがるコウチーニョのプレーを見て想起するのは、4-2-2-2を基本布陣に戦ったひと昔前のブラジル代表だ。中盤フラット型4-4-2に比べてプレスがかかりにくい布陣であり、両サイドを各1人でカバーする形になる両サイドバックの負担が大きくなりがちなサッカーだ。

 そのサッカーはなぜ消えていったか。バルサ的なサッカーが主流になったからだ。ブラジルはその結果、バルサ的サッカーに従うことになった。しかし、いまそのバルサが、かつてのブラジルになりつつある。本末転倒が起きている。その将来を案じずにはいられない。

 監督がバルベルデに変わった今季初めから、バルサは無敗を続けている。ヘタフェ戦の引き分けを含めれば国内リーグは23戦無敗。チャンピオンズリーグ(CL)でもグループリーグの6戦を4勝2分で首位通過。今季のバルサはともすると、かなり強いチームに見える。スペイン国内では、レアル・マドリードが早々に優勝争いから脱落しているだけに、なおさらそう見えるのだろう。現地から聞こえてくるのは、いい話ばかりだ。

 バルサらしさの喪失という、本来、成績以上に重要な問題も大きく取り沙汰されていない。よって、日本で語られることも少ない。だが、英国に拠点を置くブックメーカーはそうではない。そのCL優勝予想は厳しめだ。バルサには、マンチェスター・シティ、パリSG、バイエルンに次ぐ4番手という低評価が下されている。

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