香川に挨拶できなかった酒井高徳。新監督の「主将はゴウ」でスッキリ (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

「いい形で入ったと思うし、いい流れで試合できたと思うんですけど、最後のところのクオリティが......という印象が強かったです。持たされるという感じもあったけど、だとしてもボール持てた時間は多かったし、向こうは(ボールを)取ってもほとんど何をしたらいいかわからない状態が続いている感じが多かったので。後半も、どっちかといったらまだ何か起こりそうだなという雰囲気はあったんですけど、そのへんで仕留められないところが違うところかなと思うし、それが自分たちの得点力不足を表しているのかな」

 ドルトムントに一時期のような相手を圧倒する勢いがないこと、一方でハンブルガーは監督交代を経てまだまだ自らのサッカーが確立していないことを冷静に指摘した。

 とはいえ、酒井にどことなくスッキリした雰囲気があるように見える理由のひとつは、新監督からの信頼を肌で感じているからだろう。ギズドル前監督は2016年9月、チーム変革の一環として就任と同時に酒井を新キャプテンに指名した。

「嬉しくて『やります』と言ったけど、外された人の気持ちも考えなくてはいけなかった。でも、やっていこうと思う」と、当時の酒井は初々しく語っていたものだ。「ドイツ語もできないくせに、と思われている」と言いながら、ドイツメディアの前に立ち続け、ピッチでは時に熱すぎるほどの気持ちを見せてきた。

 だが、そのキズドルが、今季はチームが不調に陥ると、試合によって酒井を主将から外すようになる。酒井には迷いが生じた。

「気にならないと言ったら嘘になりますけど、自分の中であまり気にしていなかった。というのは、どんな立場でも自分のやることをやろうと思っていたから。チームがよく回らなかったのは、(自分に)キャプテンを名指しで指定したのにもかかわらず、(いろいろな選手にキャプテンを任せることで)『誰が本当にキャプテンなのか?』という雰囲気が、なんとなく流れてしまったのもあると思う。

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