マドリーかパリか。CL大一番の展開を、欧州人より詳しい3人が予測 (5ページ目)

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倉敷 ウナイ・エメリはヨーロッパリーグ(EL)3連覇の実績がパリのフロントに評価されたわけですが、実はビッグネームの選手を使うのがあまり得意ではないという印象が拭えない。まさに試金石のゲームです。ジダンが置かれている状況も厳しいけれど、エメリもこの勝負に負けたらどうなるか。2人の監督の置かれている立場にそれほどの差はないと想像できますね。

 エメリはかなり練った戦術で戦いたいはずですが、結局はネイマールを使ってどう戦うのか、に問題点が集約されてしまう。特別な選手を抱える監督の悩みですね。かつて、バルセロナのペップやルイス・エンリケに与えられた命題と似ていますが、パリにメッシはいない。そこにはプラスとマイナスがある。どんなアイデアを持ち出すか?

 キャラクターで比較すると、攻撃的なディフェンスで賛否はありましたが、マドリーはペペがいなくなってしまったことで中央の睨みが効いていないことが気になります。特にこれからのラウンドですね。セルヒオ・ラモスも未だに本来のコンディションではない。インテンシティーの面ではカゼミーロへの依頼心が強すぎるように感じられる。優勝を目指すためにはキャプテンシーを発揮し、無理やりにでもチームを引っ張っていく人材が不可欠です。

小澤 ペペの抜けた穴がどのように影響しているのかはわからないですけど、たしかに今季のマドリーのほぼすべての選手が、昨季よりもパフォーマンスが落ちているように見えますよね。特に守備陣ではラファエル・ヴァランとセルヒオ・ラモスの2センターバックは、昨シーズンの安定感からは程遠い出来だと思います。

 戦術的にどうしてもサイドに釣り出され1対1や1対2の対応を強いられるのですが、マドリーのCBであれば数的不利な局面でも一人で解決する能力が求められます。しかし、今季は最後の砦であるはずの彼らが脆い。しかも、それに代わる選手もいない。唯一、ナチョ・フェルナンデスは頑張っていますけど、ヘスス・バジェホはほとんど戦力になれていません。

 そういう面で、マドリーがパリに対してどのように組織で守るかという点が重要になると思います。第1戦は右サイドバックのダニエル・カルバハルが出場停止で欠場するのが痛いところですが、いずれにしてもパリ戦のポイントはいかにしてネイマールを抑えるかになると思います。そうなると、ナチョが縦方向のドリブルを抑え、カットインで持ち出されたところをアンカーのカゼミーロと協働で止めに行くという守り方がこの試合の見どころになると思っています。

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