マドリーかパリか。CL大一番の展開を、欧州人より詳しい3人が予測 (3ページ目)

  • photo by Getty Images

中山 グループリーグ6試合で計25ゴールをマークしてCL史上最高記録を更新したように、「MCN」のタレント性と破壊力については、現在欧州ナンバーワンと言っても過言ではないと思います。戦い方もすごく攻撃的で、両サイドバックのポジションを高く維持して、常にボールを支配して相手陣内でゲームを進めたいという意図が見て取れます。

 実はエメリが監督になった時、彼としては戦術的な修正を施して、ある程度各選手が自分のポジションを守る形の組織的な守備を植えつけようとしました。しかし、主力組から不満が噴出し、結局は選手の意見を尊重して前任者ロラン・ブランのポゼッションスタイルに回帰したという経緯がありました。

 実際、それによってチームの雰囲気も良くなって、結果が出るようになった。しかも今季はネイマールという別格のスーパースターが加入したので、ある程度守備面の綻びには目をつむって、とにかく攻め倒すことで守備をするというスタイルで戦っています。もちろん、エメリとしては不本意な部分もあると思いますが、彼も将来のことを考えればいい経験になっているのではないでしょうか。

小澤 たしかに、エメリのキャリアでこれだけのタレントを抱えたことはないですからね。ただその中で、彼はボールを保持する形のチームをしっかり作っていることは間違いなく、その部分についてはマドリーよりも上だと思います。ただ逆に、守備に明らかな問題がありますよね。普段のリーグ戦ではそれほどボールを持たれる時間、試合がないので目立ちませんが、マドリーのような相手と戦う時は同じようにはいかないと思います。

 それが露呈したのが、3-1で敗れたグループリーグ最終節のバイエルン戦でした。あの試合の3失点すべてがサイドからやられたことからもわかるように、とにかくサイドの守備が手薄です。当然サイドバックの問題もありますが、ムバッペやネイマールの戻りが少ないので、ビルドアップ時に相手のサイドバックに高いポジションをとられ、ウイングやサイドハーフと合わせて2対1の状況を作られてしまうことが多い戦術構造です。その時にマルコ・ヴェラッティやユリアン・ドラクスラーのようなインテリオール(インサイドハーフ)の選手がサイドに釣り出された時、対応が遅れて逆にセンターを突かれるようなこともあります。

 時間は経過していますが、ああいったシーンはマドリーも分析していると思うので、そこを突くプランを持つことはひとつポイントだと思います。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る